【解説書の一部】 スイート・アイランド
夏になると「夏向き」な音楽が恋しくなる
日本の四季の中で、夏ほど「夏向き」な音楽が恋しくなるシーズンはない。だから昔から、夏というとビーチ・ボーイズだとかチューブだとかが恋しくなって。今ではさしずめレゲエ、それもラヴァーズ系のグルーヴが夏の定番と呼べるのだろうか。でも、ひとくちにレゲエといっても、たくさんありまして、暑い日にラガ・マフィンは余計暑苦しいし、ラヴァーズといったって、爽やかじゃないものだって、たくさんある。「夏向き」ってことで何を求めるかといえば、涼しい雰囲気だから、ヒット・ソングよりも、むしろ夏休みに行ったリゾート地のテラスで流れている、名もないアーティストの音楽の方がはまり、ってことも多い。かくして、僕はいつも夏になると、いろいろなリゾート地で見つけて買ってきたCDを、趣味で聴くことが多い。
どんな曲が夏に似合っているのか。
例えばカリビアンのスティール・ドラム・バンドの演奏を、ポリネシアン・レストランで聴いて、いたく気に入って、みやげ物売り場に並んでいた即売のCDを思わず買ってきたり、ウォルト・ディズニー・ワールドでは、映画「リトル・マーメイド」のキャラクター、カニのセバスチャンがガイドするサルサ/ラテン系の妙なCDが、けっこう気に入ってしまって買ってきたり。はたまた、カナダでは、鳥の声とアコースティック・ギターをミックスしたヒーリング系のCDを見つけてほくそえんだり……。で、リゾート地の王者ハワイ、といえば、今までもカラパナやらセシリオ&カポノやらレオやらと、いろいろいたけれど、どこか都会にこびているようで、100%なごむことはなかったわけ。
ケアリイの曲には都会にこびない「なごみテイスト」がある。
ところが、このケアリイ・レイシェルときたら、あなた、まんまハワイアン・リゾートなわけ。このアーティストが音楽的にいかに凄いかは、佐伯君が詳しく触れると思うし、正直いって僕はケアリイのことをよく知らない。でも、なごむことに関して知識はいらないだろう。ビートルズのカヴァーとなる「IN MY LIFE」を聴くだけでも、ケアリイのなごみテイストがわかるだろう。しかも現地語で歌われる「KAWAIPUNAHELE」などには、都会には迎合しない、広さや深さのようなものも感じられる。ハワイというと、海系と思われがちだけど、ケアリイの歌にはむしろ南国の山に宿る精霊がついているみたい。ただし、ケアリイを聴くと勤労意欲は根こそぎ奪われてしまうから、休日によく冷えたワインなんかと、ゆったりと聴くことをおすすめしたい。

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