【ここに掲載の翻訳文、訳詞、譜面、写真の転用は許可されません。個人の楽しみでプリントアウトするまでにしてください】
| 録音の目的と内容【英文和訳のまとめ】 | |
ゲル内での収録風景 |
トゥバの伝統音楽の様式を現地録音、音楽が遊牧民の生活の中で果たす役割を調査した。 1987年、ロシア民族音楽調査隊と自ら名乗る総勢4名のプロジェクトがトゥバの首都キジルに向けて出発した。カメラやデジタルテープレコーダーなどを持参し、トゥバの伝統音楽の様式を現地録音するためだ。トゥバは山脈と森林と草原に囲まれた土地柄である。その雄大な自然に育まれながら、トゥバ人は馬やトナカイ、それにヤクや羊などの放牧で生計を立てている。遊牧民である彼らの音楽センスは、そうした自然や動物と深い関係を持っている。 このプロジェクトは、アメリカのナショナル・ジオグラフィック・ソサエティ(米国地理学協会)と旧ソ連の作曲協会が協力して主催したものだ。レコーディングは遊牧民の住居であるゲルで行われた。トゥバは旧ソ連からの影響が強い。その旧ソ連では文化省の指導のもと、音楽やダンスを現代的にアレンジしたものが奨励されている。だが、この録音ではそうした現代バージョンではなく、音楽が遊牧民の生活の中でどのような役割を果たしているかを伝えるように考えている。ただし、17曲目の「ホーミーのメドレー」だけは例外だ。この曲は伝統音楽を現代風にアレンジしたものになっている。若手のトリオがコンサートやスタジオ、テレビで歌ったものから選んで収録した。 注)旧ソ連時代は政治的な意味あいで、トゥバなどの民族音楽を禁止する傾向にあった。 |
| ホーメイ 5種類の発声法【英文和訳のまとめ】 | |
![]() 18曲目の譜面。 原音のドローン(低音部の持続音)に対して メロディー(高音部)を同時に発声する。 |
☆この解説文は英語をもとに翻訳しており、スペルやカタカナ表記は実際の発音と異なる場合があります。 ホーメイは主にモンゴルやトゥバで歌唱されている。その発声法は5種類あり、「声の高低」「発声の仕方」で区別されている。このアルバム「トゥバ〜中央アジアからの歌声」では、その5種類のスタイルを紹介している。 Kargiraa(カルギラー/ハリフラー) 「wheeze(ゼイゼイ)」という音を発声する意味。「アー」「オー」「エー」「ウー」の母音を発声し、ハスキーな声(かすれた声)で低音部を響かせるのが特徴。原音である低音部はかなり低い音程(バス=最低音)となり、胸部を強く振動させることで発声する。息が続くよりも、声の響の方が長く続くイメージで行う。歌詞のある歌で行うことが多い。 Sigit(シギト) 「whistle(ヒューヒュー)」という音を発声する意味。原音はバリトン(次低音)の音域でカルギラーよりも高音になる。メロディー部は緊張感があり、クリアで耳を刺すような音を出すのが特徴。英語の「cheese(チーズ)」の「イー」、「urn(壺)」の「エー」の音で発声する。歌詞と左記の母音を代わる代わるに歌うことが多い。高音部のメロディーが美しく、人気のある発声法である。 Khoomei(ホーメイ) 発声する音域はシギトと同じだが、咽頭部をあまり使わないで鼻にかけて歌うのが特徴。ホーメイとシギトはいっしょに歌われることが多い。美しい発声法で人気がある。 Ezengileer(エゼンキエル) 「stirrup(かきまわす)」の意味。かきまわすような感じで発声するのが特徴。原音は低音となり、唇を早く振動させて微妙なメロディーを生み出すようにする。馬のギャロップのリズムを真似ることが多い。 Borbannaidir(ボルバンナドィル) 「rolling(ころがす)」の意味。ホーメイと同じく鼻を振動させ、ころがすような感じで発声するのが特徴。原音はバス(最低音)およびバリトン(次低音)の音域になる。エゼンキエルよりも音量が豊かで声に緊張感がある。こちらも馬のギャロップのリズムを真似ることが多い。 ボルバンナドィルとエゼンキエルは、遊牧生活を共にする動物、山脈や草原などの自然、水や光や風の音を表現するときに行う。 注)ギャロップ=馬の走り方で、最も速い駆け足のこと。 |
| 歌詞の英文和訳 | |
| 32曲目/四行詩(男女の歌) (男性合唱) 一歳の子馬も二歳の子馬も その運命は強さで決まるよ 花嫁のリボン飾りは 僕の考え方次第で決まる (女性合唱) 夜明けが来ても来なくても 曇りの朝はやって来るよ 私を婚礼に連れ出す気があるのかどうか 彼は気持を決められないでいる (男性合唱) 一歳の子馬も二歳の子馬も その運命は強さで決まるよ 花嫁衣装の飾りは 僕の気持次第で決まる (女性合唱) 太陽が昇っても昇らなくても 暑い日になるでしょう 彼が来ても来なくても 花嫁の値打ちは下がりはしない |
30曲目/オルティンドー「鶴を脅かさないで」 (男性ボーカル) 鶴を脅かさないで 草原の美しい宝石 おまえを眺めていると心が安らぐよ 鶴を脅かさないで 森の草地に舞い降りる宝石 私の心を焦がす愛する鳥よ 鶴を脅かさないで |
| 31曲目/オルティンドー「羊に草を食べさせるとき」 (女性ボーカル) 放牧しているとき 羊はなんて美しいのだろう 辺りには小高い丘がそびえているよ 草を求めて移動しているとき 羊はなんて愛らしいのだろう 小高い丘を登るよ 「どうして居留地をあちこち歩き回っているのかって」 お父さんとお母さんに いますぐ聞いてみてよ 「おまえの馬が縄から逃げてしまった」って言うから 「私は馬を探しに出かけたよ」 | |
| 33曲目/儀式の歌「山脈の賛歌」 (男性ボーカル) エエー 世界よ 森羅万象の全世界よ 私のしもべよ エエー 雁よ カラスよ エエー 世界よ 森羅万象の全世界よ エエー 万物を浄めよ 私の家畜を護りたまえ | |