【解説書の一部】 ギドン・クレーメル・プロフィール

1947年にラトヴィアのリガに生まれたヴァイオリン奏者ギドン・クレーメルは、25年に及ぶ輝かしいキャリアの中で、彼の世代では屈指の独創的で魅力のある演奏家として世界的な名声を得てきた。ありきたりな解釈を拒絶して新たな可能性を追求し続ける、いい意味での強烈な個人主義を高く評価されている演奏家である。

クレーメルは4歳の時から父と祖父についてヴァイオリンを学び始め、1965年にモスクワ音楽院のダヴィド・オイストラフのマスタークラスに入った。その後クレーメルは、チャイコフスキー・コンクール、ジェノヴァのパガニーニ・コンクールでの優勝を始めとして、数々の権威あるコンクールで上位入選を果たした。また、フランクフルト音楽賞、エルンスト・フォン・ジーメンス音楽賞、キジアーナ音楽アカデミーの1等賞、ドイツ連邦十字賞などたくさんの賞を受けている。これまでにヨーロッパとアメリカの著名なオーケストラのほとんどと共演し、バーンスタイン、エッシェンバッハ、アーノンクール、カラヤン、ムーティといった現代の超一流指揮者と共演を行っている。

また、クレーメルは数多くのレーベルから100点を越えるレコードを出している。数々の国際的な音楽賞を得てきたクレーメルの録音は、今や解釈の新たなスタンダードとなったといえる。そのレパートリーは広大で、古典派、ロマン派の主なヴァイオリン作品はもちろんのこと、20世紀の作曲家の作品まで網羅している。クレーメルはまたロシアや東欧で現在活躍中の作曲家たちの作品にも力を注ぎ、彼に献呈された作品を含む重要な新作を多数演奏してきた。私たちが、例えばアルフレード・シュニトケ、アルヴォ・ペルト、ソフィヤ・グバイドゥーリナ、ヴァレンティン・シルヴェストロフ、ルイジ・ノーノ、アリベルト・ライマン、ジョン・アダムズ、アストル・ピアソラといった、伝統的であると同時に現代的なクラシック音楽を体験できるのは、クレーメルのたゆみない活動のおかげに他ならない。

さらに、室内楽に深く関わってきたクレーメルは1981年、音楽は言葉と文化のあらゆる障壁を乗り越えられるという信念に基づいて、オーストリアの小さな村にロッケンハウス音楽祭を創設した。1992年以降、ロッケンハウスの演奏家たちはクレメラータ・ムジカの名のもとに世界中で演奏するようになった。1997年のシューベルト生誕200年に際してはヨーロッパ各地でシューベルト・コンサートを開催し、ザルツブルク音楽祭にも出演している。

1996年11月、ギドン・クレーメルはバルト3国の優れた若手演奏家を育成するための室内オーケストラ、クレメラータ・バルティカを創設した。クレーメルに率いられて1997年から定期的な演奏旅行を行うようになったクレメラータ・バルティカは、ノンサッチを録音契約を結び、契約では6枚のアルバムが発売されることになっている。また、クレーメルは1997年以来、ユーディ・メニューインの後継者としてスイスのグスタード夏の音楽祭を主宰している。

ギドン・クレーメルの愛用楽器は、1730年製グッルネリ・デル・ジュス:エクス・ダヴィッドである。


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