| 【解説書の一部】 三味線/唄〜江戸のルネサンス・粋 |
| 三味線音楽のいろいろ―長唄、端唄、小唄 〈長唄〉は,江戸の歌舞伎の舞踊の伴奏音楽の一つです。大人数で、歌い、三味線を弾きます。更に囃子が付きますので、舞台は目が覚めるような華やかさで、音楽も賑やかです。三味線は細棹です。囃子は、能の囃子を真似ましたので、能管(篠笛も)・大鼓・大鼓・太鼓で、能のように各一人ずつでは無く、曲の規模にしたがって人数が増えます。これらの大勢の演奏者が舞台中央の雛段に居並び演奏する姿は圧巻です。その前面のスペースで役者が踊りを見せます。 〈端唄〉は、江戸時代の中頃から終わり頃に、江戸の庶民の間で流行した三味線伴奏の小品歌曲です。当時の流行歌といったところでしょう。鳴り物入りで演奏する場合が多く、楽しい音楽です。聞いていると自然に浮かれてきて、イヤなことナンカ吹っ飛んでしまいます。 〈小唄〉は、江戸時代末期に、〈端唄〉から生まれた流派です。当初は主として〈清元〉関係者達が作曲や編曲をしていました。大正時代頃から、一般の人達への稽古所が盛んになり、次々と家元を名乗る人達が続出しました。現在家元は100人以上もいて、それぞれ流派になっています。よって以前は、ごく少数の粋人達の座敷での余技の音楽でしたが、現在は、一般の人達のお稽古ごと的性格を強め、舞台でのおさらい会も盛んです。曲は、短いものが多く、上質の裂の端切れといったところです。また、三味線は、〈清元〉と同じく中棹を使う場合が多いです。そして、撥など使わず、ちょっときどって指で弾き、肉感あふれる音を楽しみます。 三味線音楽のいろいろ―俗曲、地唄 〈俗曲〉は、学問的な意味での定義は、はっきりしていません。江戸時代終わり頃から明治時代に庶民の間で流行した三味線伴奏の歌曲で、特に酒宴の場で酔っぱらって歌う時等に、好まれて歌われた曲を指すようです。よって、楽しく陽気な気分になる曲が多いです。しかし、曲そのものは、高度な芸術性が秘められたものもあり、それらは演奏者の力量にかかっております。 〈地唄〉は、江戸時代に、盲人音楽家が庶民に、演奏を聞かせたり教えたりしていた、三味線伴奏の歌曲です。現在では盲人の演奏家は少ないようです。京都大阪の関西で盛んだった音楽なので、当然、歌は関西弁のイントネーションで作曲されています。関東の人にとっては、歌詞が聞き取りにくい面もあるかもしれません。また、盲人の作曲・演奏でしたから、盲人独特の発声の特徴が、歌に反映されているように思われます。箏と合奏する演奏スタイルが多いですが、合奏しない場合の方が多い曲もあります。そういう類の曲は、しっとりと歌いあげられ、且つひかえめに一つ一つはいる三味線の音とで、色っぽい、はんなりとした世界をかもし出します。 |