| 【解説書の一部】 深遠なるカンテ・フラメンコの至芸 |
| フラメンコは、バイレ(踊り)、トーケ(ギター演奏)、カンテ(歌)が三位一体となった総合芸能。 身体表現のすみずみに情熱のほとばしりでるようなフラメンコ舞踊は、じつに魅力的なパフォーマンスである。華やかな衣装や目にもとまらぬサパテアード(タッピング)の強烈な印象もあいまって、日本ではフラメンコといえば踊りが主役であると思われることが多い。しかし、ダンサー達の華麗なコレオグラフィのバックで、渋いサポートをつとめる職人たち「ギタリストと歌手」こそが、じつはフラメンコの屋台骨をささえる存在なのである。フラメンコは、バイレ(踊り)、トーケ(ギター演奏)、カンテ(歌)が三位一体となった総合芸能なのだ。三者のなかで、日本のリスナーにとっていちばん縁遠い存在は、歌=カンテだろう。じつはこのカンテこそが、フラメンコの中核であり、フラメンコに心底惚れ込んだ愛好家にとって、もっとも大切な存在なのだ。 フラメンコの要はカンテ(歌)だ。手拍子と囃し言葉が威勢よく加われば、宴は一晩中でも盛り上がる。 ギターや踊りがつかなくとも、カンテはこれだけでりっぱに完成されたフラメンコになりうる。手拍子と囃しことばが威勢よく加われば、たとえギターなしでも一晩じゅう宴をもりあげる潜在力を秘めている。また、元来ギターなしのア・カペラで歌われるカンテの型も存在する。ギターのソロや、ソロ・ギターを中心としたインストゥルメンタルなフラメンコ・セッションも、近年は盛んだ。しかし、それは、やはりどこかとりすましたステージ・パフォーマンスという雰囲気を帯びてしまう。どんなに現代的なフラメンコ・フュージョンであっても、若者を熱狂させるような人気ユニットの中心には、かならず歌があるものだ。あのパコ・デ・ルシアも「グループのサウンドの要は歌手だ」と語っている。 |