| 【解説書の一部】 チベット仏教の音楽 |
| 人の心を浄化させるお経「降魔」の不思議。 まずこのCDを解説を見ずに、ひととおり聴いてみよう。おそらく魂が浄められるような気分になるだろう。なぜならば、これは降魔のための儀礼のクライマックスで詠まれるお経だからだ。降魔というのは、外敵の悪魔を降伏させるのではなく、人間がそれぞれに持つ罪や汚れを浄化させることである。その目的のために、徳の高いラマにしたがって仏教の教えを受け、ラマとともにマンダラ世界を瞑想し、それぞれが自身にゆるぎない心を持って文殊師利の忿怒のすがたであるヴァジュラバハイラヴァに生まれ変わっていくのである。 人の身長ほどもある長いラッパの迫力大低音。 長管ラッパ「トゥンチェン」は真鍮で作られ、折りたためる。対で演奏され、地をはうような低音が鳴る。 ダライ・ラマゆかりの寺院の僧侶が演奏。 このCDの演奏者の所属するナムギェル学堂は、16世紀にチベットが大モンゴル帝国のアルタイ汗の庇護を受けていた時代にダライ・ラマ3世によって設立された寺院である。その後、この寺院はポタラ宮の紅宮に置かれ、175名の僧侶がチベット政府と歴代ダライ・ラマの重要な勤行・宗教儀式・供養を受け持つ。ゲルク派に属すが、チベット仏教すべての宗派の祈祷・儀礼の指導的立場にある。1959年、ダライ・ラマ14世とともに亡命。北インドのヒマチャルプラデッシュ州ダラムサラに新たにチベット仏教の総本山の直属寺院として建てられた。亡命後は、伝統を厳守した儀礼等を行う他、ダライ・ラマ14世に従い、世界各地を平和運動を兼ねた布教活動もおこなっている(1989年にはノーベル平和賞受賞)。今回、このCDのレコーディングに参加した僧侶は、カ゜ワン・タシ阿闍梨をはじめとした15名である。 |