| 【解説書の一部】 宮廷の楽宴 |
| 地域によって異なるタイの音楽。 タイの音楽は、おおざっぱにみると4つの地域に分けてとらえることができる。北部はビルマの影響が強く、南部はマレイ半島と共通したもの、とりわけ影絵芝居や人形芝居の音楽が目だつ。東北部にはメオ、ヤオなど多くの少数民族が居住しており、その音楽は多様である。そして首都バンコクを中心とする中部では、宮廷で栄えた音楽がある。 このアルバムでは宮廷で演奏された楽器による合奏である。 ここで取り上げたのは、宮廷を中心に用いられてきたいくつかの楽器と、それらによる合奏である。大きな編成の合奏グループを呼ぶことは意図的に避けた。これは、この企画の1つの目的が、個々の楽器についての理解を深めることにあったためである。事実、独奏を多くしてもらったことによって、タイの音楽に特徴的な1オクターブをほぼ7等分した音階をじっくりと聴くことができる。そのあたりもこの録音を聴く際の1つのポイントである。 三弦の擦弦楽器ソーサムサイ。 ここに収められている楽器について若干説明を補足しておく(あわせて以下の曲目解説を参照していただぎたい)。 ソーサムサイはマホリなどにおいて重要な楽器である。3弦の擦弦楽器で、形態の点で沖縄の胡弓に多少似ている。奏法の点では、隣の弦をこするために弓の角度を変えるのではなく、棹のほうを回す。これはインドネシアやマレーシアのルバーブと同様であり、また同じような弾き方をする日本の胡弓が決して奏法の点で孤立したものではないことを示している。また、胴に張った皮に宝石が取り付けられている。これは、おもりとして機能していて、この石の位置を少しずつ変えることによって微妙な響きの調整を行なっている。 片面太鼓のトーンとラマナ。 膜鳴楽器のトーンとラマナは、セットとして1人の奏者が演奏している。トーンは杯型片面太鼓で、中東起源と考えられる。ラマナは浅い片面枠太鼓で、皮は胴に鋲で止めてある。中国の同型の楽器から派生したと考えられ、同様のものはマレーシアではルバナ、ラバナなどと呼ばれている。 7つの指穴のある縦笛クルイ。 クルイは裏に1個、表に7個の指孔があり、この他に薄い紙を張ったりあるいは紙を詰めたりした孔を1個、横に開けてある(かつては竹の薄皮を張っていた)。これによって音質が荒くなり、独特の効果が得られる。さらに、下端に近いほうに2組の孔があり、ここに飾り紐を通して楽器を運ぶ下げ紐とする。この4個の孔は演奏中は開いたままである。 |