| ガムラン インドネシアのジャワ島やバリ島に伝わる青銅製の板を並べた鍵盤楽器です。ジャワ島のガムラン音楽は宮廷を中心に発展したため、比較的に荘重でゆったりとしているのが特徴です。一方のバリ島のガムラン音楽は農村を中心に発展し、優美でダイナミックなサウンドが特徴になっています。ガムランは普通、2台1組のペアで演奏され、その互いの微妙な音のずれがガムラン特有の心地よい「うねり」を創り出します。半音を含まない日本民謡に近い「スレンドロ」音階、半音を含む沖縄音楽に近い「ペロッグ」音階の2つを使用します。ちなみに、「ガムラン」とは古代ジャワ語で「打つ」「叩く」の意味があります。 |
| ゴン・クビャール ガムランは宗教音楽で寺院と密接な関係があります。そのスタイルには3つあります。寺院の中で行われる最も宗教色の強いガムラン、これは一般の観光客は見ることができません。もうひとつは、寺院内の庭で行うガムラン。そして最後の、寺院の外で行われるガムランがバリ島で最も人気のある、このゴン・クビャールです。以前からあったガムラン音楽を基に、1930年頃から新しい楽器類を加えて開発されたもので、ゴング、ゴング・チャイム(レオン)、シンバル(チェンチャン)、太鼓(クンダン)、縦笛(スリン)など約25種類の楽器から構成されます。クビャールとは、「マッチの炎のように燃え上がる」の意味。その名の通り、大編成の楽器群によって華やかで迫力のあるサウンドを展開します。 |
| ヤマ・サリ バリ島プリアタン村のガムラン演奏グループ。人口わずか8,000人ほどのプリアタン村には、ガムラン演奏グループがひひめくようにいます。演奏技術や創作の新しさで世界的にも高く評価され、その頂点にいるのが新生「ヤマ・サリ」です。このグループの誕生はまだ新しく、それまでは、「ティルタ・サリ」が王者として君臨していました。「ティルタ・サリ」の創始者マンダラ翁が1986年に死亡した後は、「ティルタ・サリ」を越えるガムラン・グループは生まれないと信じられていましたので、「ヤマ・サリ」の登場はまさに衝撃的でした。「ティルタ・サリ」で共に活動していた音楽家のヘンドラワン氏が自らのオリジナルを演奏するために組織されたのが、この「ヤマ・サリ」です。バリ島プリアタン村の数々のグループからトップ・アーティストを集めて鍛えあげたスーパー・グループなのです。 |
| ジェゴグ バリ島西部、ジュムブラナ地方に伝わる竹製鍵盤の打楽器アンサンブル。「竹のガムラン」とも呼ばれています。その第一の特徴は、使用する楽器の数とサイズの多様性。ジェゴグのアンサンブルは普通14台で構成され、様々なサイズを使用することで多彩な音色を作り出しています。第二の特徴は、竹の巨大さ。これによって持続する超重低音のうねるような迫力を生み出しています。第三の特徴は、音階の特異さ。青銅製のガムランとは違う、ラ・ド・ミ・ソのシンプルな4音を使用し、独特の軽快なメロディーを創り出しています。 |
![]() ジェゴグ14台の基本構 |
| ワヤン・クリ ワヤン(Wayang=影)、クリ(Kulit=皮)。水牛の革細工の人形を操る影絵人形のことです。クリル(白い幕)にたくさんの人形を写し、一人のダラン(人形使い)がガムラン音楽の演奏をバックに物語を展開します。インドネシアでは一般的に影絵人形のことを単にワヤンと呼んでいますが、その中でもバリ島で一番人気のあるのがワヤン・クリです。夜遅く始まり、夜明けに終わるのという長時間のため見る方も自由気まま。来る時間も帰る時間も人それぞれです。演目は古代インドの二大叙事詩「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」に由来するもので、これをダランが延々と、ときには面白おかしく語ります。 |
| マハーバーラタ ワヤン・クリの人気の演目。古代インドの二大叙事詩のひとつで、バラタ族の大詩史。サンスクリット(ぼん語)の韻を踏んだ32音節の対句10万余という膨大な詩句からなる長編です。その本筋は、バラタ族のバーンドゥ家とクル家の王子たちによる大戦争の物語。ワヤン・クリでは、この戦争の描写は少なく、登場人物の性格描写や事件の記述にまじえて、宗教や哲学、神話、法則、社会、制度などが教訓的に語られます。この語りの妙がワヤン・クリの評価となります。また、語りには常に善玉と悪玉が登場し、英雄が大活躍して悪を滅ぼすのが決まりとなっています。 |
| ケチャ バリ島の呪的合唱劇。別名「モンキー・ダンス」と言われるように、神の使いである猿のメッセージを伝える合唱舞踊。夜のひじまから猿たち(合唱隊)が現れて始まります。その歴史は比較的に新しく、1933年頃に誕生。100人から200人の上半身裸の男性が幾重にも円陣を組んで座り、その中にかがり火を焚き、きらびやかな衣裳をまとった踊り手たちが次々に登場します。演じられる内容はラーナーヤナの波乱万丈の物語で、この長大な物語全体をたったの1時間の長さに巧みに凝縮しています。ケチャを演じる人びとは3つのグループにわけることができます。第一が儀式を執行する僧侶で通常は一人だけ、リーダー的な存在です。第二のグループは合唱隊。「チャッ、チャッ」の合唱を行い、その特異性でケチヤが世界的に有名になったのです。このグールプは舞踊や演技も行います。第三のグループは、ラーマーヤナのさまざまな登場人物の役を演じる踊り手たちです。 |
| ラーマーヤナ ケチャは、このラーマーヤナ物語によって演じられます。古代インドの二大叙事詩のひとつで、紀元前2世紀頃に成立したといわれるヒンドゥー文化圏に伝来するものです。起源はインドに発し、バリ島へはヒンドゥー文化と共に伝来し定着しました。(※マハーバーラタ参照) |
| ラーガ インド古典音楽には、このラーガという言葉が頻繁に登場します。これは「旋律に関する音階の理論」で、ターラ「時間、拍子、リズムの総合的な理論」と共に重要な要素とされています。これだけの説明ではわかりにくいので、西洋音楽を例にしてみましょう。まずラーガの説明。西洋音楽には、ドレミファソラシドの音階がありますね。この他にもドリアンモードとかいう旋法がいくつかあるのをご存じでしょうか。このモードにあたるのが、「旋律に関する音階の理論」と考えていいでしょう。つまり、音符の上下の動き、メロディーを創り出す理論のことです。ラーガの基本音列は、1オクターブ12音としていますが、西洋音楽と同じ7音と考えていいでしょう。残りの半音は装飾音として使用しています。この7音をどのような音階で配列するかがラーガです。もう一方のターラは、「時間、拍子、リズムの総合的な理論」ということですが、これらはすべてリズムと考えても良いでしょう。リズムは音符の長さ(時間)や強弱(拍子)の動きでつくられるからです。ということで、ラーガとターラはメロディーとリズムの理論と考えても良いでしょう。しかし、インド古典音楽ですから、そう単純に 割り切ってはいけないようです。「音の動きによって人の心を彩る」というサンスクリット哲学が登場します。ラーガには、「彩る」という意味があります。 |
| シタール 北インドを代表する弦楽器。その起源は12〜13世紀頃、ペルシャの三弦楽器「セタール」とインド古来の伝統弦楽器「ヴィーナ」が融合して生まれたとされています。全長は1.25〜1.30メートル。共鳴胴がガボチャの殻で作られており、芸術的な装飾が施されています。弦の数は一般的に、7本の主要演奏弦と11〜13本の共鳴弦から構成されています。主要演奏弦はさらに、旋律を奏でる弦、ドローンやリズムをきざむチカリ弦と呼ばれる機能にわかれます。右手の人差し指にミズラーブと呼ばれる針金のピックをはめて演奏します。主要演奏弦を弾くと共鳴弦が振動し、その倍音による「音のゆらぎ」が音質の特徴になっています。また、ミーンド奏法(ギターのチョーキングのような装飾技法)によって生まれる連続的な変化の大きなポルタメントも特徴です。 |
| タンブーラ シタールの伴奏に欠かせないのが、この伴奏楽器タンブーラです。シタールの背後でジーンジーンという繊細な響きを常に奏でています。CDを聴いていても、シタールと音色が似ているのであまり注意が向かないかもしれません。しかし、音の豊かな広がりや安定感といったドローン効果を生み出す大事なパートを担当しています。このタンブーラの伴奏がなかったら、シタールもただのカボチャの箱になってしまうかもしれませんね? |
| タブラ シタールとのアンサンブルで活躍する太鼓。右手で打つ太鼓はダヤンまたはタブラ、左手で打つ太鼓はバヤンまたはバーヤ。この2台1組になった総称がタブラです。高音は日本の「つづみ」やアフリカ系の「コンガ」のような軽快な響き、低音はポルタメントのかかった胸をえぐるような心地よい響きが特徴です。 |
| ヴィーナ 南インドを代表する弦楽器。全長約1.5メートル。共鳴胴と棹の部分は固いジャック・ウッドの木をくり抜いて作られ、共鳴器には丸いカボチャが使われます。棹の先端部分には、神話の動物ヤーリの彫刻が施されています。7本の金属弦が張られ、これを指で弾くか、針金で作られた爪をはめて弾きます。音質はシタールに似ていますが、とても繊細な音色。超高音から超低音までの幅広い音域の繊細でダイナミックな変化が特徴になっています。ムリダンガムと呼ばれる太鼓とアンサンブルを組みます。 |