| 【日本語解説書の一部】 ゴスペル決定版〜ゴスペル入門・名作集 |
| ■ゴスペルは思ったよりも間口が広く、何を選んだらよいのか迷ってしまう。 ゴスペルを聞いてみよう、あるいは歌ってみようという人たちに立ちはだかる第一の関門は、その間口の広さだ。今はクワイアが全盛なのでそれだけ聞いていれば十分かというと、そんなことはない。そのうちスタイルにも様々なものがあり、おまけに何百年の伝統ということを聞かされては、ゴスペルの大樹のほんのひとひらの葉しか触っていないことに気付かされるだろう。そのためにも、ヴァラエティに富む様々なゴスペル入門用のコンピレーションが組まれてきたわけだが、ここにお届けするものは、ちょっと違うぞということをまず強調しておきたい。 ■ゴスペル名門レーベルからピックアップしたこだわりの選曲。 有名なアーティストだけ並べ、しかも有名な曲だけ網羅して一丁あがり、という企画とは違う。現代のゴスペルに少しずつ親しみ始め、他にはどんなのがあるのかなあと興味津々の方に、さらにどんどん深く入っていただこうということで企画されたものだ。えーこんなのがあるんだ、といった、いわば仕掛けもあちこちに張りめぐらせてある。もちろん有名なアーティストも取り揃えてあるので、気軽に入っていただけるだろう。サムクックが歌うソウル・スターラーズとか、意外やロックンロールの神様リトル・リチャードとか、親子グループのステイプル・シンガーズ、さらに大御所ジェイムズ・クリーヴランドといったところがそれだ。そうしたアーティストから入ってみるのも良し、頭から聞いてみるのも良し、である。なお、本CDの音源は、ゴスペルの名門レーベルとして知られるヴィー・ジェイ・レコード、そしてスペシャルティ・レコード及びその関連レーベル作品である。 ■現在のゴスペルの出発点はいったい誰なのか。 さて、みなさんは現在のゴスペル、さらにクワイアと限定してもいいが、その出発点として何を思い浮かべるだろうか。エドウィン・ホーキンス・シンガーズの「オー・ハッピー・デイ」と答える人が多いんじゃなかろうか。未だよく歌われるナンバーであり、もうスタンダード化しているといって間違いはない。これが全米で大ヒットしたのが1969年のこと。確かに、この頃からゴスペルの新しい波が起こり、それが現在のゴスペルに直接つながっているという考えもあるだろう。だが、この曲はその波が表に出た象徴的な1曲であっても、別にその最初の1曲とかいうものではない。 ■ゴスペル界のスティーヴィ・ワンダーともいえるアンドレ・クロウチを聴いてみたい。 むしろ同じ頃台頭し、ゴスペル部門で毎年話題を提供したアンドレ・クロウチこそその最初のひとりというにふさわしい気がする。彼の名をよく聞くようになったのは、70年代に入ってからのことだと思うが、正直いってあまりピンと来なかったものである。あの有名な「ウェイド・イン・ザ・ウォーター」や、名作「ゲット・ライト・チャーチ」がこんな風になってしまうのである。ぼくがこのCDの選曲を任されたとしても、1O年前だったら、いや5年前でさえこの2曲は選曲しなかっただろう。この新しさがわかり、今につながるものだと実感するようになったのはやっと最近のことである。したがって、ここではそのアンドレ関係の4曲から始めて、クワイアをまずお聞きいただき、さらに女性グループ、混声グループへと行き、ソロや男性グループ、カルテットへと遡っていくことにする。 |