| 【解説書の一部】 アパラチア・ワルツ2 |
| チェロのヨーヨー・マとフィドルのマーク・オコーナー、ベースのエドガー・メイヤーが夢の競演。 まさに待望と呼ぶにふさわしい新作の登場だ。フィドル(ヴァイオリン)のマーク・オコーナー、ベースのエドガー・メイヤー、そしてチェロのヨーヨー・マ。ジャンルを越境して活躍を続ける、いずれ劣らぬ世紀のスーパー・プレイヤー3人によるスペシャル・ユニットが織り成す“アメリカの夢”。 アメリカで記録的な大ヒットとなった『アパラチア・ワルツ』の第二弾。 このトリオによる第一作である『アパラチア・ワルツ』(96年)は、本国アメリカではとにかく売れた。ビルボードのクラシック・チャートで、なんと連続23週もトップを独走し、2年間にわたってチャートに入っていたほどだ。ヨーヨー・マというクラシック界切っての人気プレイヤーがメンバーということもあろうが、それだけでこのビッグ・ヒットは達成できはしなかっただろう。やはり、音楽そのものの素晴らしさ故の正当な評価だったと思う。そして今、あの圧倒的喝采を背に、3人は再び手を携えて『アパラチア・ワルツ』の続編を作った。それが、ここにある『アパラチア・ワルツ2』(原題は『アパラチアン・ジャーニー』)である。しかも今回は、ジェイムズ・テイラーとアリソン・クラウスという、ポップ・シーンのスター二人もゲスト参加している。より華やかになり、より深みを増した。これが再びアメリカで大きなセンセイションを巻き起こすのは確かと思われる。 「アパラチア」とは東部各州にまたがる山岳地帯の呼び名である。 では、2作の共通のテーマとなっている「アパラチア」とは何か?それは勿論地名なわけだが、アメリカ人にとっては、実に様々な思いを抱かせる、ノスタルジックな響きに彩られた心の故郷である。ひとことで言えば、アメリカン・ミュージックの揺り篭。それがアパラチアなのだ。 アパラチアとは、ヴァージニア、ウェスト・ヴァージニア、ケンタッキー、テネシー、更にノース・キャロライナとサウス・キャロナイナといった東部各州にまたがる山岳地帯の地名だが、ここに入植した移民たち(主にイングランド、スコットランド、そしてアイルランド系)が持ち込んだ伝統音楽が混淆を繰り返して一体化し、更にそれが母体となってドイツやスウェーデンやノルウェー系移民たちの伝統音楽と混ざり合い、アパラチア山地特有の混血音楽、いわゆるマウンテン・ミュージックが出来上がっていった。 アパラチアの音楽は、次第にジャズやブルースやロックなどに発展していった。 そして、これが最も重要な点だが、マウンテンミュージックはアパラチアで独自のキャラクターを保持しながらブルーグラスやカントリー・ミュージックなどに発展しつつも、19世紀後半以降に発達した鉄道や、今世紀前半に急速に広まったラジオや蓄音器(レコード・プレイヤー)などの文明の機器を通じて、アパラチアの外へと伝播してゆき、黒人音楽やユダヤ系音楽などと更なる異種交配を繰り返し、ジャズやブルースやロックなどの20世紀ポップ・ミュージックの母体となっていったのである。先にアパラチアを「アメリカン・ミュージックの揺り篭」と述べたのは、そういうわけだ。 |