【解説書の一部】 密林のポリフォニー
イトウリの森に棲むピグミーのポリフォニー音楽、その素晴らしさは音楽関係者も注目していた。
アフリカ大陸の最深部、イトウリの森に棲んでいるピグミー族(ムヴティ族)の音楽が驚異的な水準にあるということは、しばらく前から世界中の先端的な音楽関係者の中で話題になっていました。
まず、ピグミーの音楽は、響き=サウンドにその素晴らしさがあります。立ち上がりのよい鮮明かつ繊細な響きの世界。それが森の木立ちに響きわたります。もうひとつは、それらの響きがおりなすポリフォニー。単純に音符には書き表せないほどおそろしく多彩で複雑高度なものです。
ひとりが何げなく出した音に、他の誰かが即興で反応して行くアサンブル。
誰かひとりが何気なく出した音に、もうひとりが即座に反応してそれに似合うような音を発します。また誰かがそれに反応し、こうして幾童にも重なった音の集合体が複雑きわまりない大曲に発展していきます。ひとりひとりの音のモザイク状の組み合わせで、精緻な声の編目模様をつくる絶妙なアンサンブルと即興的なパターンの展開は、驚くぺきものです。
親指ピアノの弾きがたり、今風の粋なリズムが心地よい。
キブ湖畔のゴマの町から600km、ついに道は途絶え、その先は足で歩くしかありません。イトウリ森へわけ入る拠点となる宿場町、そこがマンバサ宿でした。その宿の腸気で歌好きの番顕さんが歌ってくれたバラードがこの曲です。リケンベ(親指ピアノ)の弾きがたりで、熱唱する番顕さんを追いかけて録音するのは至難の技でした。しかし、聴かせてくれた曲は粋なリズムでいかにも今風です。

戻 る